これまでの「徹底節税」シリーズでは基本的に法人なりをした先生を対象とした節税手法をご紹介してきましたが、今回は個人事業者である先生向けの節税として使える「小規模企業共済」についてご紹介します。
「小規模企業共済」とは、以前にご紹介した倒産防止共済と同じく、中小企業基盤整備機構という経産省所管の独立行政法人が運営する共済制度です。
この共済は、小規模な個人事業主や法人の役員がご勇退なさる際に、それまで積み立てていた掛金に応じて共済金を受け取れる制度で、経営者のための退職金制度となっています。
小規模企業共済は小規模なクリニックを対象とした制度ですので、誰でも加入できるわけではありません。常時雇用する従業員が5人以下であれば加入することができます。
今後従業員の増員を予定している場合などは、加入要件を満たさなくなってしまう恐れがありますので、お早目の加入をお勧めします。
小規模企業共済の掛金は全額が所得控除となります。掛金の上限は月々7万円となっていますので、最大で年間84万円の所得控除となり、これに所得税・住民税の税率をかけた金額の節税効果が見込まれます。
仮に、所得税・住民税の税率が30%の方が、掛金を最大84万円とした場合、年間25万円程度の節税となります。
満期の概念はないので、ご勇退の時までこの効果が続くことになります。
小規模企業共済の掛金は中小機構によって運用されていますので、基本的にご勇退時には掛金以上の共済金を受け取れることになります。
ただし、掛金払込月数が240ヶ月(20年)未満で任意に解約した場合など、受け取れる金額が掛金以下となってしまうこともありますので注意が必要です。この元本割れの恐れがある点が小規模企業共済の最大のデメリットとなっています。
ご勇退時に受け取ることができる共済金には税金がかかってしまいます。しかし、共済金を一括で受け取る場合には退職所得扱いとなり、この退職所得は前回の記事でもご紹介した通り、税金面でとても優遇されていますので、掛けていた時に受けられる節税効果の方が大きくなることの方が多いでしょう。
小規模企業共済は小規模な事業者が退職金を外部に積み立てておくものですので、上手に使うためのポイントは倒産防止共済と同じく「ある程度寝かしておける資金か否か」です。
掛けているうちは節税となりますが、税金が減る額以上に資金が外に出て行ってしまいます。任意で解約すれば元本割れをすることにもなりますので、基本的には退職時または20年が経過するまで引き出せません。
計画的にかけられるかどうかがポイントとなってくるでしょう。
以上のように小規模企業共済はしばらく寝かせて置ける資金がある場合には相当有効な節税手法となっています。まだご加入されていない場合、一度加入のご検討をなさってみてはいかがでしょうか。
弊所では加入に際してのご相談も随時お受けさせて頂いております。ご検討される場合にはご相談頂ければ幸いです。
]]>これまでの「徹底節税」シリーズでは基本的に法人なりをした先生を対象とした節税手法をご紹介してきましたが、今回は個人事業者である先生向けの節税として使える「小規模企業共済」についてご紹介します。
「小規模企業共済」とは、以前にご紹介した倒産防止共済と同じく、中小企業基盤整備機構という経産省所管の独立行政法人が運営する共済制度です。
この共済は、小規模な個人事業主や法人の役員がご勇退なさる際に、それまで積み立てていた掛金に応じて共済金を受け取れる制度で、経営者のための退職金制度となっています。
小規模企業共済は小規模なクリニックを対象とした制度ですので、誰でも加入できるわけではありません。常時雇用する従業員が5人以下であれば加入することができます。
今後従業員の増員を予定している場合などは、加入要件を満たさなくなってしまう恐れがありますので、お早目の加入をお勧めします。
小規模企業共済の掛金は全額が所得控除となります。掛金の上限は月々7万円となっていますので、最大で年間84万円の所得控除となり、これに所得税・住民税の税率をかけた金額の節税効果が見込まれます。
仮に、所得税・住民税の税率が30%の方が、掛金を最大84万円とした場合、年間25万円程度の節税となります。
満期の概念はないので、ご勇退の時までこの効果が続くことになります。
小規模企業共済の掛金は中小機構によって運用されていますので、基本的にご勇退時には掛金以上の共済金を受け取れることになります。
ただし、掛金払込月数が240ヶ月(20年)未満で任意に解約した場合など、受け取れる金額が掛金以下となってしまうこともありますので注意が必要です。この元本割れの恐れがある点が小規模企業共済の最大のデメリットとなっています。
ご勇退時に受け取ることができる共済金には税金がかかってしまいます。しかし、共済金を一括で受け取る場合には退職所得扱いとなり、この退職所得は前回の記事でもご紹介した通り、税金面でとても優遇されていますので、掛けていた時に受けられる節税効果の方が大きくなることの方が多いでしょう。
小規模企業共済は小規模な事業者が退職金を外部に積み立てておくものですので、上手に使うためのポイントは倒産防止共済と同じく「ある程度寝かしておける資金か否か」です。
掛けているうちは節税となりますが、税金が減る額以上に資金が外に出て行ってしまいます。任意で解約すれば元本割れをすることにもなりますので、基本的には退職時または20年が経過するまで引き出せません。
計画的にかけられるかどうかがポイントとなってくるでしょう。
以上のように小規模企業共済はしばらく寝かせて置ける資金がある場合には相当有効な節税手法となっています。まだご加入されていない場合、一度加入のご検討をなさってみてはいかがでしょうか。
弊所では加入に際してのご相談も随時お受けさせて頂いております。ご検討される場合にはご相談頂ければ幸いです。
]]>前回の「徹底節税」シリーズでは退職金によって節税ができることをご紹介させて頂きました。
それでは実際にどの程度の節税が見込まれるのでしょうか。
?役員報酬が月額80万円で10年間
?役員報酬が月額50万円、10年後に退職金3,600万円(勤続25年)
のケースで見てみましょう。
?の場合、年間の所得税・住民税の合計額はおよそ172万円となりますので、10年間で1,720万円となります。
?の場合、年間の所得税・住民税の合計額はおよそ75万円となりますので、10年間で750万円と退職金に対する所得税・住民税としておよそ380万円の合計1,130万円となります。
以上のように?と?の場合でその差は590万円となっています。
退職金が税金面でとても優遇されていることがお分かり頂けたかと思います。
また、毎月の役員報酬を抑えることによって、社会保険料を抑える効果も期待できます。
役員報酬を減額し退職金を設定することで、所得税・住民税を抑えることができ、とても有効な節税対策となりますが、退職金を支払うまでの間は役員報酬を減額した分、法人税が増えてしまうことになります。
退職金を支払う原資を積み立てなければならないのに、税金が増えてしまっては元も子もありません。
そこで一部が損金になる保険を利用して退職金の原資を作ることで、法人税も抑えることができます。
例えば1/2が損金となる長期平準定期保険などの保険によって積み立てれば、退職金の原資を積み立てながら法人税の負担をある程度抑えることが可能となり、退職時に保険を解約すればその返戻金で退職金を支払うことができます。計画的に資金を積み立てることができるので、いざご勇退なさる時に資金不足となるリスクが回避できます。
また、退職金の支給時には多額の費用を計上することになり赤字となってしまうリスクもありますが、保険を利用することによって前もって一部を損金としていますので、そのリスクも軽減できます。
保険の種類によっては、10年後の返戻率も100%に近くなるようなものもあるようですし、万が一にも備えることができます。
現役の先生にとってはご自身の勇退はずっと先のことと感じてしまうこともあるかと思いますし、そんなに先のことまで考えていられないと思ってしまうこともあるでしょう。しかし、前もって退職金を予定することができれば効果的な節税を行うことができますし、次の世代にクリニックを引き渡す際の負担を軽くすることもできます。
一度先生のご勇退のプランを検討なさってみてはいかがでしょうか。当事務所では長期的なシミュレーション作成のお手伝いもしております。お気軽にご相談いただければ幸いです。
関連記事 「動物病院「徹底節税」シリーズ11 院長先生のお給料 編」 「動物病院「徹底節税」シリーズ14 院長先生の退職金 編 PART1」]]>院長先生はいつまでご自身のクリニックにお勤めになるか、その後の生活はどうするかのライフプランはお考えになっていますか。ある程度のご年齢になってご勇退なさるときには、老後のためにある程度の退職金は考えておきたいものです。
勇退後の生活資金を貯蓄する目的で高額な役員報酬を設定している先生もいらっしゃるのではないでしょうか。毎年の法人税は減らすことができても、じつは所得税の負担の方が大きくなってしまっていることもあります。さらに高い所得税をかけて支給をしたにもかかわらず、そのお金が低金利の貯蓄として眠ってしまっているというのはとても勿体無いことです。
それであれば、法人税は増えてしまいますが、必要以上の役員報酬はとらないで、将来の退職金に回してみてはいかがでしょうか。
法人なりをされている場合には退職時に退職金の支給ができ、その退職金は老後の生活資金という性質を持っていることから税金的にはかなり優遇されています。今の役員報酬を抑えつつ、将来退職金で支給することによって節税することができるのです。
ご家族を法人の非常勤役員としているところも多いかと思います。その場合、そのご家族が退職する場合にも退職金の支給は可能でしょうか。もちろん役員として会社に貢献してきているはずですので退職金の支給は可能です。
先代の大先生が代替わりした後も勤務している場合には、退職金を支給して節税をするチャンスです。
それでは実際に退職する時にはいくらまで退職金を支給できるのでしょうか。どんなに会社に貢献していてもその金額を無尽蔵に支給できるわけではありません。支給したとしても不当に高額な部分については税務的に否認されてしまうでしょう。
実際には以下のように計算することとなります。
最終月額報酬 × 勤続年数 × 功績倍率
功績倍率とは役職によって退職給与規定などで定められた定数で、代表取締役の場合には3倍程度が用いられることが多いようです。
例えば、25年勤務した社長が役員報酬50万円であれば退職金は3,750万円程度まで支給することができます。
今回のコラムでは、退職金の概要についてご紹介させて頂きました。
退職なんてまだまだ先だからと思わずに、長期的な目線でクリニックの経営計画を検討してみてはいかがでしょうか。
次回の「徹底節税シリーズ」では、具体的な節税効果や退職金を準備しながら節税をする方法をご紹介させて頂く予定です。ぜひご覧いただければ幸いです。
関連記事 「動物病院「徹底節税」シリーズ11 院長先生のお給料 編」 「動物病院「徹底節税」シリーズ15 院長先生の退職金 編 PART2」]]>当コラムではその中でも動物病院経営で支給申請がし易いものをピックアップしてご紹介していきます。
当回は最もメジャーでとても使いやすい「キャリアアップ助成金」をご紹介致します。
先に結論を申し上げますと、該当スタッフがいれば「必ず」受給できる助成金です!!
*当コラムは平成30年5月現在の情報となります。
簡単に言うと・・・
有期契約のスタッフさんやアルバイトさんを、正社員や期間の定めの無い契約にするなどの取り組みを実施したことに対する助成制度です。
週2〜3回のアルバイトさんが仕事に馴染んできて、フルタイム〜正社員に転換するというケースは少なくありません。お子さんの学業が一段落して、フルタイムに復帰したいという方もいらっしゃいます。
慎重人材を得るため、また、この制度を前提として当初は有期で契約される院長先生もいらっしゃいます。
上記の様にクリニックに申請機会も多く、比較的支給を受け易いのが、このキャリアアップ助成金です。
一番ポピュラーなのは「正社員転換コース」です。
支給額は以下の通りです。
・有期契約スタッフ → 正社員
57万円(生産性向上の場合は72万円)
・有期契約スタッフ → 無期契約スタッフ
28.5万円(生産性向上の場合は36万円)
・無期契約スタッフ → 正社員
28.5万円(生産性向上の場合は.36万円)
アルバイトさんを正社員にするには基本給のベースアップや社会保険の加入など、資金的なハードルがありますが、助成金でこれらをカバーすることができます!!
(注)カッコ書の「生産性向上の場合」とは支給申請を行う直近の会計年度の生産性(≒利益)が6%以上伸びている場合で、助成額が割増されます。
キャリアアップ助成金を受けるためには共通した要件がありますが、詳細は別コラムにご紹介しておりますので、そちらをご参照下さい。
→動物病院「徹底助成金」シリーズ1 助成金を受けるための準備 編
以下の3つの手順が必要となります。
?キャリアアップ計画を作成&提出
有期契約スタッフを正社員転換するための計画(対象者、目標、期間、実施内容など)を作成して提出します。記載内容はそれほど難しいものではありません。貴院で実際に正社員採用する際に実施する準備のようなものを記載します。
?支給要件をクリアする
正社員転換前の6ヶ月と後の6ヶ月で基本給が5%以上昇給している必要があります。
例えば20万円の給与で1万円。フルタイムで拘束になりますので、この程度のベースアップは当然クリアするものと考えます。
?正社員転換
勤続6ヶ月以上3年未満の有期契約スタッフやアルバイトを正社員、ないしは無期契約スタッフ(期限の定めのない)とする。または、無期契約アルバイトを正社員とする。
事前準備をしっかりして、勘どころを抑えておけば難しいことはありません。
繰り返しになりますが、該当するスタッフがいれば「必ず」受給できる助成金です!!
また、いまのところは該当者がいなくても今後の採用にきっとお役立ちする制度です。
弊社では会計税務のほか、動物病院経営に有用な制度ご提案〜サポートを行っています。
うちのクリニックも使えるかな?など、些細なご質問でも構いませんのでどうぞお気軽にご相談いただければ幸いです。
関連記事 動物病院「徹底助成金」シリーズ1 | 助成金を受けるための準備 編 動物病院「徹底助成金」シリーズ2 | 助成金を受けるための一番のポイント備 編 ]]>「徹底節税シリーズ12 所得分散 編 PART1」では、所得分散をすることによって低い税率を使い税負担を抑えられることをご紹介させて頂きました。
実際に奥様に役員報酬を支給するとなると、社会保険の加入の要否も気になるところかと思いますが、役員報酬を支払う以上は社会保険に加入しなければならいのでしょうか。
加入の要否は奥様が常勤か非常勤かによって変わってきます。
常勤であれば役員報酬の額にかかわらず社会保険の加入が必要となります。
非常勤であれば、その勤務実態によってかわってきますが、院長先生の手伝いをしている程度の勤務内容であれば加入の必要はないと考えてよいでしょう。
ただし、非常勤役員ですので常勤役員と比して支給できる役員報酬は低くなりますのでご注意ください。
また、支給する役員報酬の年額が130万円未満とすれば、院長先生の被扶養者となり、国民年金や国民健康保険への加入も必要がなくなります。
奥様に支給する役員報酬の額が一定要件以下であれば、もちろん院長先生の扶養になることもできます。配偶者控除を受けるための要件は平成30年より変更されています。詳しくは、「動物病院「経営お役立ち情報」シリーズ4 2018年 配偶者控除改正の落とし穴 編」でご紹介していますので、ご参照下さい。
では実際に所得分散をさせると税金の負担はどのように変わってくるのでしょうか。
仮に院長先生と奥様の月額報酬の合計を80万円とします。
?院長先生80万円、奥様0円の場合(所得を分散させない場合)
?院長先生70万円、奥様10万円の場合(奥様の役員報酬を扶養の範囲内とした場合)
?院長先生50万円、奥様30万円の場合(奥様の役員報酬が不要の範囲を超えている場合)
この3パターンでの税金・社会保険料は次のようになります。(社会保険料は個人負担と法人負担の合計額)
このように所得を分散させることによって、税金・社会保険料を抑えることができることがお分かりいただけたかと思います。
これまで奥様に報酬を支払っていなかったり、高い報酬を支払っている場合には、その金額を見直すことによって節税・節保険が可能になってくるかと思います。
徹底節税シリーズ11〜13の3回にわたって、院長先生の役員報酬や奥様などの役員報酬の設定によって税金や社会保険料の負担額に大きな差が出てくることをご紹介させて頂きました。
役員報酬の設定にあたっては、業績の予測に基づいた綿密なシミュレーションを行う必要があり、またクリニックの今後の展開にも大きく影響するものとなります。
これまでなんとなくの金額で決めてしまっていた先生方におかれましては、顧問税理士などにご相談されてみてはいかがでしょうか。
当事務所では、現状の報酬額が適正なものであるかどうかの診断も行っております。お気軽にご相談頂ければ幸いです。
関連記事 「動物病院「徹底節税」シリーズ11 院長先生のお給料 編」 「動物病院「徹底節税」シリーズ12 所得分散 編 PART1」]]>クリニック経営も軌道に乗り、開業時の設備資金の借入返済の目途が立ってくると、投資や将来の財産形成が気になってくるものです。
ただし、当社では「まずは事業投資=本業であるクリニック経営に投資するのが一番!!」と回答しています。
資産形成と運用は言葉が似ているようで違います。
資産形成=収入を増加させることで「事業投資=本業であるクリニック経営に投資」することが、投資効果が高く運用効果としても一番利回りが良いのではないかと考えています。
資産運用=形成した資産を増加させることですので、まずはクリニック経営に投資して、収入を増加させることをスタートに考えていただくことをお勧めしています。
当社の経験則ですが、どの業種でも10年先の業績は不透明であると考えます。
同じことを続けて現状維持することは難しい?新しい試みをして、メンテナンスをして初めて現状維持〜右肩に上がって行くといった印象があります。
不動産や金融商品などの投資で10%の利回りを得るのは難しいですが、クリニックの売上高が10%減少することは珍しいことではありません。
臨床技術向上やスタッフ教育など、お金だけではありませんが、売上高のうち数%でも広告宣伝やマーケティング、設備投資等に回す(投資する)ことから考えていただくことお勧めしております。
資産形成=クリニック経営に投資してもまだ資金にあるようであれば、資産運用することを止める理由はありませんが、運用手法にも順番があると考えます。
サラリーマンでは出来ませんが、ご自身で開業されている場合は「節税効果」の出る様な手法をとると、運用益との相乗効果が出ます。
先ずは院長先生の退職金の積立や万万が一があった場合に備える保険や共済で、節税効果のあるようなものが良いかと考えます。
手軽さ、使いやすさで考えると、個人であれば小規模共済、法人組織であれば倒産防止共済などが該当します。
民間の生命保険会社ではそれこそ沢山の商品がありますが、積立タイプは何十年と言った付合いになりますので、保険商品の選定には十分検討が必要です。
その次には、節税効果があり院長先生のリタイア後の資産として、当社では近年iDeCo(イデコ)をお勧めしています。
こちらは別コラムで詳細を解説しておりますが「個人型確定拠出年金」の愛称で、簡単に言うと「老後の資産・年金を自分で貯めるお得な制度」です。
60歳まで年金資金をご自身で選択した投資信託の様な金融商品で運用するものですが、その掛金が先生の課税所得から所得控除ができる優れものです。
運用次第では元本を下回る可能性もありますが、税効果を含めてマイナスになることはまず無い?のではないかと考えます。
金額も5,000円から始められるもので、投資経験があまりない方には導入して最適と考えます。
院長先生は獣医師として、経営者として、またご家族を守る家長として一人何役もこなしながらクリニック経営、家計の生活費、リタイア後の老後資産をやり繰りしなければなりません。
当社では院長先生のライフプランをトータルでサポートできるような体制を整えております。ご不安事、ご相談事ありましたらご遠慮なくお申し付け下さいませ。
関連記事 動物病院「経営お役立ち情報」シリーズ5 | iDeCoってやらなきゃ損? 編 PART1 動物病院「経営お役立ち情報」シリーズ6 | iDeCoってやらなきゃ損? 編 PART2]]>「徹底節税シリーズ11 院長先生のお給料 編」では、院長先生のお給料の額の設定によって負担する税金の額に差が生じることをご紹介させて頂きました。今回のコラムではさらにお給料を分散させることによってさらに負担する税金を抑えられるということをご紹介させて頂きます。
院長先生のお給料を分散させて他の方にお給料を支給することを「所得分散」といいます。なぜ所得を分散することで税金の額が変わってくるのでしょうか。
個人が受け取るお給料については、所得税がかかってきます。所得税は超過累進課税といい、所得の高い部分には高い税率で税金がかかってくる仕組みとなっています。同じ家計に入ってくるお金なのであれば、院長先生のお給料を奥様など他の方に分散させることで、高い税率がかかる分を低い税率で課税させることが可能になります。
簡単に図解すると・・・
クリニックの業務に対して何もしていない奥様にお給料を出してもそれが経費として認められることはまずありません。奥様にお給料を支給するのであれば、何かしらの業務を手伝ってもらうようにしましょう。
業務を手伝ってもらったうえで、従業員として給与を支給する際には、その業務量に応じた金額を支給する必要があり、他のスタッフの方との給与の水準は同じ程度とする必要があります。スタッフの方と奥様の業務量に差があるのにも関わらず同じ金額を支給していたとすると過大な部分は経費とは認められなくなってしまいます。
合理的な金額であれば、毎月の給与額が変動しても問題はありません。ただし、経営に携わっているとみなされると、役員となっていなくても定期同額となっていない部分は経費となりませんので注意が必要です。
以上のように奥様に従業員給与を支給するためにはいくつもの注意すべき点がありますので、役員登記をして役員報酬として給与を支給することをお勧めいたします。
役員報酬ですので定期同額の要件は必要となってきてしまいますが、役員である以上、役員としての職責は少なからず存在することになりますので、不当に高い報酬でない限り、経費として認められなくなることはありません。従業員と役員とでは立場も違ってきますので、他のスタッフとの比較も必要なくなります。
この場合においても、何もしていない役員に対して報酬を支払うことはできませんので、ある程度の業務は手伝ってもらうようにしましょう。
今回のコラムでは所得分散によって税金が抑えられるとことをご紹介させて頂きました。
次回の「徹底節税」シリーズでは所得分散 編 Part2として、社会保険との関係や実際にどの程度の税金負担が変わってくるのかをご紹介させて頂く予定です。ぜひご覧頂ければ幸いです。
関連記事 「動物病院「徹底節税」シリーズ11 院長先生のお給料 編」 「動物病院「徹底節税」シリーズ13 所得分散 編 PART2」]]>誤解を恐れずに申し上げると、税務調査は「交渉」の一面があります。調査官の指摘を一方的に受けるという訳では無く、こちらの判断や主張を抗弁することができます。
一般の納税者の方や経験の乏しい税理士の方は、必要以上に怖がって〜身構えて「交渉の土俵」に上がる前から劣勢になっているケースがあります。
事前に書類を精査し、想定される問答を予め準備しておけば、当日の「交渉」を有利に進めることができます。
税務調査は通常は過去3年分遡って精査されます。
従って、当日は過去3年分の帳簿、証票類、契約書類、給与関係書類等を事前に用意しておくわけですが、準備段階で顧問税理士と打合せを兼ねて、一度ざっと確認することをお勧め致します。
これは「見られたくないものを隠す」や「誤った会計処理を改ざんする」といったものではありません。(これらは脱税行為〜重加算税対象行為となってしまいます)
例えば・・・
・不足の資料がないか確認する(あれば、それまでに揃えておく)
・ミスリードさせてしまうような、書き込み、メモ書き、付箋がないかチェックをする
・誤った会計処理があった場合には、それに対しての経緯などを説明〜抗弁できる準備をする
・売上高の計上時期や経費性の判断など、見解が分かれそうな事項については、税理士と事前に打合せを行い、方針と抗弁内容を決めておく
・親族や関連会社などクリニック独自の取引は、その必要性や必然性を論理的に説明できる準備をしておく
上記は、隠ぺいや改ざんなどではありません。繰り返しになりますが税務調査は「交渉」の側面があります。
調査官は少しでも「怪しい」と感じた事項については次から次へと質問をぶつけて来ます。
調査官の「交渉術」の一つですが、これらの質問に都度戸惑っていては、調査官にあらぬ誤解を招きますし、何よりこちら側が心理的な負担を感じて、まともな「交渉」を行うことができません。
何気ない質問でも記憶が不確かであったり弱い場合は、たとえ潔白であっても口ごもってしまうのが心情です。質問のストレスから逃れようと余計な回答をして自ら傷口を広げてしまうこともあります。
逆に、帳簿や証票類が整然として、調査官の質問をきれいに返答していけば、心理的に有利な状態でこちらのペースで「交渉」することができ、調査官に「ここは叩いても出ないな(追徴が無いな)」の状態にもって行くことができます。
事前準備は非常に重要で、税務調査の結果を左右するものですが、これを端折ってしまう〜重要性を認識していない税理士の方もいます。
当社では動物病院の税務調査に精通しており、院長先生のご不安の解消や不要な追徴課税から守らせていただいております。
税務調査でご不安、ご相談事ありましたらご遠慮なくお申し付け下さい。
関連記事 動物病院「徹底税務調査」シリーズ1 | 税務調査は怖い?日程の交渉 編 ]]>
私見も含めて誤解を恐れずに申し上げると「節税効果+複利効果」は院長先生の資産形成に本当に大きなインパクトを与えると考えております。
iDeCoは通常の金融商品と違い、分配金などの運用益は非課税ですが、その非課税の運用益を投資元本に自動的に再投資します。
→投資元本に再投資することを「複利運用」と言います。
例えば、年間3%で複利運用できたとすると・・・
・1年後 103%
・3年後 109.2%
・10年後 134.3%
・15年後 155.7%
・20年後 180.6%
元本が保証されている訳ではありませんので、マイナスになる年もあるかも知れませんが、上記の3%を大きく上回る年もあるかも知れません。
ただし、運用は長期にわたるほど元本増える可能性が高くなり、また複利効果が発揮されやすいと言えます。iDeCoは運用期間の長い制度ですので、金融商品の選択を吟味して長い目で見れば、複利効果を充分に享受できると考えます。
<院長先生の情報>
・開業獣医師(個人事業)
・40歳(60歳まで20年運用)
・課税所得 1,200万円(税金のかかる収入)
・iDeCo掛金 68,000円/月
・年間3%で複利運用できたとすると・・・
<複利効果>
20年後の運用資産の合計 = 22,226,102円
・積立元本 = 16,320,000円
・運用益 = 5,906,102円
<節税効果>
?院長先生の事業所得に対する課税
年間350,880円 × 20年 = 7,017,600円の節税!!
→ 所得税&住民税 合計 43.3%の場合
?運用益に対する課税
上記運用益に対する税金 1,199,824円が非課税!!
<効果合計>
・運用益 5,906,102円
・節税? 7,017,600円
・節税? 1,199,824円
・合計 14,123,526円 の効果となります!!
以下、NTTデータさんのサイトを引用させていただきました。
ご自身でシミュレーションしてみて下さい。
このように、iDeCoは「節税効果+複利効果」で本当に大きなインパクトがあります。
当社ではiDeCoの導入、メリットや注意点のみならず、クリニック経営〜院長先生の資産形成も含めてご提案ができます。ご不安事、ご相談事ありましたらご遠慮なくお申し付け下さい。
関連記事 動物病院「経営お役立ち情報」シリーズ5 | iDeCoってやらなきゃ損? 編 PART1 ]]>突然、国税職員が乗り込んできて、令状を片手にクリニックのレジや金庫、PCやメールを徹底的に調べられる?
そこまではいかないまでも、税務調査が入ったら「必ず」追徴の納税とそれに延滞税などのペナルティを覚悟しなければならないと考えておられる方が多いようです。
たしかに、いいかげんな経理をしていれば国税職員が乗り込んでくる、いわゆる「強制調査」であったり、調査後に重たい税負担をしなければならないことがあります。
ただし、しっかりと事前の準備をしていれば必要以上に不安を感じることはありません。
動物病院の税務調査はパターンが決まっています。動物病院を専門にしている税理士が準備と立ち合いを行えば、ご心配無用です。
当コラムでは数回に分けて、動物病院の税務調査の実態を解説させていただきます。
令状を持って踏み込んでくる調査は、国税庁査察部(マルサなんて言う言葉を耳にされたことがあるかも知れません)が行う「強制調査」で、これは相当に巨額で悪質な脱税行為を取り締まるもので、全体の調査の1%もありません。
これに対して院長先生が通常受ける税務調査は「任意調査」と呼ばれるもので、予めクリニックや顧問税理士に事前通知があり、日時を決めて行うものです。
例外的に、反面調査や内部的な告発で予告なしに臨場するケースもありますが、令状が無い限り、都合が悪ければ日程をあらためる事が可能です。
日程についてはあくまで「任意調査」ですので、交渉が可能です。
日中のほとんどを診察に充てている院長先生におかれましては、急に言われても対応できないことと思われます。また、3〜4日も臨場されては診察に影響がでて「商売あがったり」です。
乱暴な調査官の方だと「何月何日に調査がしたい」と都合を一方的に押し付けるケースもある様ですが、交渉により院長先生&税理士が・・・
・事前にしっかりと準備ができる期間
・落ち着いて立ち会える日時
・診察に影響が出ないような日程の短縮 これらを交渉することができます。
ただし、税務署の調査官は納税者の会計・税務に対して「質問検査」できる権利を有しています。これらを理由なく拒否したり、質問に対して黙秘したり、虚偽の陳述をすることはできません(罰則があります)ので、交渉には充分な配慮が必要です。
税理士の中には、知識が乏しい?経験が不足している?など、一般の納税者と同様に慌ててこの辺りの交渉ができない方や、むしろ、税務署側について税務署側について要求を丸呑みされている方もいらっしゃるようです。(全ての税理士が税務調査に強い訳ではありません)
前述の通り、調査を受けることは納税者の義務であり、行政協力ですので避けて通ることはできませんが、税務署側の都合に迎合する必要はありません。
クリニックを一時休診しますので、来院するペットや飼い主様にもご迷惑をお掛けしますし、何よりクリニックの利益を削っての調査ですので、なるべく簡潔に終わらせたいものです。
当社では簡潔に終わる様に、事前準備〜事後対応を行い、調査官納得のうえ、ほとんど1日で済ましています。
日程の交渉は税務調査の入口で軽視できません。準備期間をしっかりと確保し、なるべく短い期間で簡潔に終わらせることが「追徴税額無し・申告是認」の近道です。
当社では動物病院の税務調査に精通しており、院長先生のご不安の解消や不要な追徴課税から守らせていただいております。
税務調査でご不安、ご相談事ありましたらご遠慮なくお申し付け下さい。
関連記事 動物病院「徹底税務調査」シリーズ2 | 事前準備の重要性 編 ]]>法人化しているクリニックでは院長先生にお給料を支給することができます。ほとんどのケースで院長先生は法人の役員となっているかと思いますので、お給料は役員報酬となります。
では、院長先生の役員報酬の金額はどのように決めていますか?
役員報酬の金額を決めるには、まずスタッフに支給するお給料と役員報酬の違いを抑えておく必要があります。役員報酬とお給料の一番の違いは、金額の変動ができるかどうかです。お給料は勤務時間であったり、クリニックへの貢献度であったりで変動しますが、役員報酬は金額の変動をさせることができません。年に一度、金額を決めたら、その金額で一年間通して支給することとなり、これを定期同額給与といいます。
クリニックの業績が良ければ多めにとったり、業績が下向きの時には抑えたりしたいのがご心情ではないかと思いますが、これをやってしまいますと、一部が法人税などの計算をする際の経費とは認められなくなってしまいます。
例えば50万円の役員報酬を10ヶ月支給したあと、残りの2ヶ月だけ80万円を支給したとします。この場合、80万円の支給のうち30万円は同額ではないので、経費とはなりません。しかし、院長先生の個人の所得税は50万円が10ヶ月と80万円が2ヶ月の合計660万円に対してかかりますので、法人税では費用として認められず、所得税がかかってしまうということになります。これは本当に勿体ないことですので、定期同額は徹底するようにしましょう。
役員報酬の額は、年に一度決めることとなりますが、具体的にはいつ決めることになるのでしょうか。通常は決算日から3ヶ月以内に開催される定時株主総会などで決めることになります。
決算日から3ヶ月以内ということは、次の期からすれば期首に近い段階で決めなくてはならないこととなってしまいまので、役員報酬の決定の際にはその期の業績の予測を見積もり、税金で損をすることがないようにしましょう。
役員報酬の額を決める基準はいくつかありますが、ここでは税金の観点から見てみましょう。
例えば、今期の業績をシミュレーションした結果、役員報酬を考慮する前のクリニックの利益が1,000万円であったとします。この場合、役員報酬の決定によって、各種税金の額は次のようになってきます。
(ここでは、扶養なし、社会保険・各種控除は未考慮としています。)
このように役員報酬の金額によって負担する税金に差がでることがお分かり頂けたかと思います。
クリニックの状況や院長先生の家族構成など様々な要因を考慮して綿密にシミュレーションを行うことをお勧め致します。
ここまで税金の面から役員報酬の額による影響を見てきました。しかし役員報酬の額によって負担が変わってくるものは税金のみではなく、社会保険もあります。もちろん高い役員報酬に設定をすれば、社会保険料も高額になってきます。税金・社会保険料の両方を考慮したうえで、金額の決定をするようにしましょう。
また、税金・社会保険料の負担だけで決定をしてしまうと、思ったより役員報酬が少なく院長先生個人の生活ができなくなってしまうことや、逆に役員報酬が高すぎてクリニックの投資を行うための資金が残っていないなどというケースも生じてしまう危険性もあります。
今後の事業展開や院長先生個人の生活まで考慮して役員報酬の適正額を見積もってみてはいかがでしょうか。当事務所では役員報酬のシミュレーションのお手伝いもしていますので、お気軽にお問合せ頂ければ幸いです。
関連記事 「動物病院「徹底節税」シリーズ12 | 所得分散 編 PART1」 「動物病院「徹底節税」シリーズ13 | 所得分散 編 PART2」]]>iDeCo(イデコ)=「個人型確定拠出年金」の愛称ですが、簡単に言ってしまうと「老後の資産・年金を自分で貯めるお得な制度」です。
開業獣医師はたとえ会社組織にしたとしても、退職金が出るわけではありません。
院長先生ご自身でリタイア後の資産形成をする必要がありますが、iDeCoはその資産形成にもってこいの制度と言えます。
・60歳まで毎月一定額を積み立てます
・投資信託や定期預金などの金融商品をご自身で選択して運用します
・60歳以降に貯まった金額を一時金または年金で受け取ります
金融商品はそれぞれ特徴があります。リスクが高いもの、低いもの、運用リターンが高いもの、低いものなど、運用次第では元本を上回ることもあれば、下回る可能性もあります。
運用は自己責任ではありますが、そのリスクを補完するようなメリットがあります。
月額5,000円から1,000円単位で選択できます。掛金の変更は年1回変更可能です。
・自営業者 月額 68,000円(年額 816,000円)
・会社員 月額 23,000円(年額276,000円)
法人なりをしてクリニックを会社組織にしている場合で、院長先生が社会保険に加入されている場合は?の会社員の限度額となります。
iDeCoの最大のメリットは、何といっても「節税効果」の優遇があることです。
?積立時:掛金が全額所得控除されます
例えばiDeCoを毎月5万円積み立てると・・・
院長先生の給与収入1,000万円の場合 → 所得税・住民税 19.8万円の節税
?運用時:分配金などの運用益が全額非課税となります
一般的に、投資信託で得られた売却益や分配金には20.315%の税金が課税されますが、iDeCoでは全額課税されません。
?受取時:退職所得 or 年金所得として受け取れて優遇税制が受けられる
受取時には60歳〜70歳までの間に受取方法を選択する必要があります。
・一時金 受取り=退職所得としての退職所得控除を受けることができる
・年金 受取=雑所得として公的年金等控除を受けることができる
退職金や年金は我が国の税制では最優遇されており、所得税がグンと低くなる〜運用額によっては無税で受け取ることが出来るかもしれません。
税制のメリットが多いiDeCoですが、注意しなければならない点もあります。
・原則として60歳まで引き出せない
・運用結果によっては元本を下回る可能性がある
60歳まで引き出せないのは貯めると言う意味では逆にメリットになるかも知れません。
運用結果はどこまでいっても自己責任ですが、日本円をそのまま持っているのもリスクになることがあるかも知れません。IDeCoは資産運用の中ではリスクも運用額も低く、運用初心者でも充分扱える部類のものと考えますし、何より節税効果を下回る損は非常に考えにくいので、思い切ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
当社ではiDeCoの導入、メリットや注意点のみならず、クリニック経営〜院長先生の資産形成も含めてご提案ができます。ご不安事、ご相談事ありましたらご遠慮なくお申し付け下さい。
関連記事 動物病院「経営お役立ち情報」シリーズ6 |iDeCoってやらなきゃ損? 編 PART2 動物病院「経営お役立ち情報」シリーズ7 | 院長先生の資産運用 編 PART1]]>今回のコラムでは様々な節税手法がある中でとても使い勝手の良い「倒産防止共済」をご紹介いたします。
「倒産防止共済」とは、中小企業基盤整備機構という経産省所管の独立行政法人が運営する共済制度で、別名「経営セーフティ共済」といいます。
この共済は、1年以上事業を行っている中小企業または個人が加入することができ、取引先企業が倒産した際に、中小企業の連鎖倒産を防ぐことを目的としており、万が一取引先が倒産した場合に掛金に応じて、無担保・無保証人・無利息にて借入をすることができる制度です。
しかし、実態としてはほとんどの方が節税対策として加入されているようです。
倒産防止共済の掛金は全額を経費として計上でき、掛金の上限は月々20万円となっていますので、最大で年間で240万円の経費を作ることができます。
また、1年分を前払いしたとしてもその全額が経費となりますので、決算間際の税金対策として加入することもできます。
ただし掛金は総額で800万円となっていて、それ以上は掛けることはできません。
倒産防止共済は解約時に、その加入期間に応じて掛金が戻ってきます。
解約の理由にもよりますが、おおむね12ヶ月で80%、24ヶ月で85%、40ヶ月以上で100%戻してしてもらうことができます。
ですので、倒産防止共済はお金を貯めながら節税をすることができるのです。
倒産防止共済の解約時に戻ってくる掛金は収入となってしまいます。
最大掛金まで掛けていた場合、戻ってくる800万円が収入となりますので、これに対して税金がかかってくることになります。
ただし、解約するタイミングをコントロールすることさえできれば、この懸念は解消されるでしょう。
初めに倒産防止共済は借入をすることができる制度であると説明しましたが、一般消費者向けの債権は対象となりません。動物病院は一般消費者向けの売上がすべてでしょうから借入をすることはできないこととなり、加入するとすれば節税商品として考えるべきでしょう。
上手に使うためのポイントは「ある程度寝かしておける資金か否か」です。
掛けているうちは節税となりますが、戻ってくるときには収入となってしまいます。掛金が全額戻ってくるのは40ヶ月以上先ですし、満額まで掛けた後はそのまま積んでおいて何か資金需要がある時まで放置することも考えられますので、基本的には資金が塩漬けになってしまいます。
ですので、しばらく引き出さない「定期預金」くらいに考えておくのが健全と考えられます。
以上のように倒産防止共済は寝かせて置ける資金がある場合には相当有効な節税手法となっています。加入をご検討される場合には弊所までご相談頂ければ幸いです。
]]>運転資金が苦しくなくとも、収支がトントン〜余裕の無い状況では、院長先生の意識が経営に向きにくい〜成長されているクリニックは「借入金と上手く付き合っている」といった内容を解説しております。
当コラムでは、どの程度が目安なのか適正額なのか?この辺りについて触れていきます。
<月売上高比>
月の売上高の何か月分の借入金があるかを見るものです
・4か月未満 健全
・6か月以上 要注意
・12か月以上 危険?
<借入金償還年数>
現状のキャッシュ水準(利益+減価償却費)で借入金を完済するのにあと何年かを見るものです
償還年数 = 借入金 ÷ (利益+減価償却費)
・5年未満 健全
・7年以上 要注意
・10年以上 危険?
<流動比率>
動物病院の短期的な支払い能力がどの程度あるかを見るものです
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債
・150%以上 健全
・120%未満 要注意
・100%未満 危険
流動資産:現金、預金、売掛金、在庫など
流動負債:仕入れや外注業者に係る買掛金、未払金、スタッフ給与など
上記で目安を3つご紹介しましたが、一番シンプルなのは上記?の毎月の売上高を基準にするものです。
クリニックの売上高が年間3,000万円であれば、4か月分の1,000万円までは健全です。(結構借りれますよね?)半分の2か月分の500万円であれば全く問題ない程度ではないでしょうか?
一方で?〜?の算式を試算していただき、要注意〜危険に該当する場合は融資に難しさがあるかも知れません。
ただし、その場合は適正額を超えているかも知れませんが、いざという時のために、どれだけの枠があるかは確認しておくことお勧め致します。場合によっては、傷口が広がる前に少額でも借りておく方が良い場合もあります。
無借金経営を目指す院長先生にはあまり馴染まない内容かも知れません。ただし、繰り返しになりますが、成長しているクリニックは「借入金と上手く付き合っている」印象があります。
節約することも経営者の仕事ですが、お金と上手く付き合う、操ることが経営者の本分ではないかと考えます。「現状有るもので回す」という段階から「いつでも次の手が打てる」「いざという時のための備え」としての資金の確保が必要と考えます。
事業資金のやり繰りはストレスのかかるものですが、これらを二人三脚で一緒にサポートしてくれる税理士などのパートナーの存在がそばにいると良いかと考えます。
ご不安事などありましたらお気軽にご相談いただければ幸甚に存じます。
関連記事 動物病院「徹底資金繰り」シリーズ1 | 苦しくなる前の「有借金経営のススメ」 編 ]]>