法人による節税の代表的な手法として生命保険の活用があります。
個人事業ではいくら生命保険料を支払っても経費とはならず、所得控除として最大4万円の控除が受けられるのみですが、法人の場合は支払った保険料の全額または半分を経費とすることができます。
それでは、法人で保険に加入する時にはどのような点に注意する必要があるのでしょうか。
法人で保険に加入を検討する場合、次の3点がポイントとなります。
・保険本来の意味を考える。
・目先の節税だけでは考えない。
・保険解約時の出口戦略まで見据える。
法人で保険に加入することを検討すると、まず第一に節税と考えてしまうことが多々あります。しかし、節税だけを考えると往々にして本当に必要な保証を得られない保険を選んでしまうことがあります。
事業によって得た利益から保険料を支払うことになりますので、まずは今の状況でどのような保険に加入することが会社にとって一番のメリットになるかを考えましょう。
生命保険は経営者や役員に万一のことがあった時にこそ本当の意味が生じます。保険に入っているのに、万一の時に役に立たないということがないようにしましょう。
「当期はすごく利益が出ているんだけど、何か良い保険はないですか。」
よくこのようなご相談を頂きます。
このようなご相談を頂くとき、ほとんどのケースで当期の利益を圧縮することしか考えていないのではないでしょうか。当期の利益の額は当期だけですが、保険料を支払うのは何年も続きます。
当期の節税の為の保険が、翌期以降の事業を苦しめないようにする必要があります。
節税の為に加入する保険は、ほぼ解約時の返戻金があります。この返戻金の割合は徐々に上昇してピークを迎え、その後は下降していくことになりますが、このピークのタイミングで解約をすることで、実際に支払った保険料の大部分はかえってきます。
ここで注意して頂きたいことは、これまでに経費として計上した分は、解約時に利益になるということです。
これまでに保険料を800万円支払って、400万円を経費としていたとすると、800万円が返ってくるときには(返礼率100%と仮定)これまで経費としていた400万円と同額が利益として計上されることになります。
これを考えないで解約をしてしまうと解約による利益に対して税金がかかってくるので、これまでの節税効果は全くなくなってしまいますし、解約せずにそのまま継続していたとしても返礼率はどんどん下がっていってしまいます。
このようなことのないように、加入をする際にはしっかりと解約の時のことまで見据えるようにしましょう。
保険による節税を検討する際のポイントをご紹介させて頂きました。
これらのポイントを押さえたうえで、保険による節税を活用しましょう。