院長先生がお住まいの賃貸住宅について、所得税を計算する上で、支払っている家賃のうち事務所として使用している部分のみ必要経費とすることができます。
ざっくりと30%くらいは事務所として使っているとして経費に計上しているケースをよく見かけますが、これでは合理性に欠け税務調査で否認されるリスクは高くなると言わざるを得ません。
事務所として使用している割合がどのくらいあるのかを、その面積などで案分して合理的に計算する必要があり、その根拠を対外的にきちんと説明できる準備をする必要があります。
法人の場合にはご自宅について個人で契約している場合には、その家賃は法人の経費とはなりませんし、個人の所得税を計算する上での必要経費にもなりません。
しかし、その賃貸借について個人ではなく法人で社宅として契約し、それを院長先生に貸し付けると、支払った賃料と院長先生から受け取る賃料の差額を経費として計上することができます。
具体的には・・・
所有者 → (貸付) → 院長先生
となっている物件について、
所有者 → (貸付) → 法人 → (貸付) → 院長先生
とすることになります。
個人で賃貸借契約をしている住居は社宅とは認められませんので、物件の賃貸借契約の名義は必ず法人名義に変更をしてもらう必要があります。名義変更時には手数料が必要となることもあるようです。
個人名義のまま、法人より住宅手当を支給すると法人での経費とはなりますが、個人で所得税がかかってしまいますし、社会保険料も増えてしまうことになります。
自宅を社宅扱いとできるのは院長先生のみではなくスタッフのかたでもOKです。節税のためだけではなくスタッフの方に対する福利厚生として検討してみてもよいのではないでしょうか。
ただしスタッフの間での不公平感が生じてしまわないように、きちんと社宅の規定について整備しておくことをお勧めします。
社宅による節税の概要をご紹介させて頂きましたが、社宅による節税をお考えになる際には、お気軽にご相談頂ければ幸いです。